【ベランダ防水】ウレタン防水とは?メリットやデメリット、FRP防水との見分け方、注意点などについて解説!
2022.12.04
こんにちは、「塗るばい」でお馴染みの佐賀県佐賀市の外壁塗装・屋根塗装専門の工務店「サニー建設商事」です。
今回は、ベランダ防水の工法の一つ、ウレタン防水についての内容です。
ウレタン防水について、
・ウレタン防水のメリット
・ウレタン防水のデメリット
・ウレタン防水の種類
・密着工法
・通気緩衝工法
・ウレタン防水とFRP防水の見分け方
について説明していきます。
それでは参ります。
Contents
ベランダ防水の種類
FRP防水
FRP防水とは、繊維強化プラスチック(Fiberglass Reinforced plastics)の略称で、ガラスを繊維状にしたものを基材として樹脂で固めたプラスチックになります。
新築時によく用いられる工法で、強度が強く耐久性に優れています。
ウレタン防水
ウレタン防水とは、弾力性のあるゴム系の防水材です。
どろっとした液状のウレタン樹脂を3〜4mm程度の厚さで塗り、主にコンクリート下地の防水として用います。
新築時によく使われるFRP防水と違い、メンテナンスでよく使われる工法です。
後に説明しますが、ウレタン防水には密着工法と通気緩衝広報の2種類があります。
シート防水
シート防水とは、弾力性のあるシートを貼る工法のことです。
シート防水には主に、「塩ビシート防水」か「ゴムシート防水」の2種類があり、接着剤や機械で固定します。
昔は「ゴムシート防水」が主流でしたが、現在はより暑くて丈夫な「塩ビシート防水」の方が多く使用されます。
コンクリート
防水ではありませんが、コンクリートのベランダもあります。
これはより正確に言うと、防水層の上にコンクリートが載っている状態です。
コンクリートは防水層の保護のために載せられています。
コンクリートも放置すると劣化するため、メンテナンスが必要になります。
コンクリートをメンテナンスする場合は、ウレタン防水を行うことがほとんどです。
金属・板金防水
金属防水は、薄い板状の金属(=板金)を折り曲げて加工し、ベランダ床面から浸水しないように囲う防水工法です。
金属・板金の素材の種類には以下のようなものがあります。
・塩ビ鋼板(鋼板にポリ塩化ビニール樹脂をコーティングしたもの)
・ステンレス
・ガルバリウム鋼板
・カラートタン
ウレタン防水とは
ウレタン防水とはその名の通り、ウレタンと呼ばれる樹脂を液体状にして塗り、防水層を形成する工法です。
そもそもウレタン樹脂は、柔らかさ・弾力・摩耗性を持つ素材として、スポンジ、車のタイヤ、接着剤など、普段の生活で幅広く活用されているものなのです。
約50年前から利用し始めたウレタン樹脂は、アスファルト防水やシート防水よりも歴史は浅いですが、現在ではベランダやバルコニー、陸屋根の屋上など幅広く使われています。
外壁塗装においてはウレタン樹脂というと耐久性に心配がありますが、複合防水(改質アスファルト防水とウレタン防水の併用)などの研究が行われ、1995年ごろからは高い防水性が求められる屋上駐車場や順応性が求められる地下などでも採用されるようになった防水工法です。
ウレタン防水のメリット
継ぎ目がない仕上がり
塗料を全面に塗るため、ウレタン防水には仕上がりに継ぎ目がありません。
そのため、シート防水の際の「シートが剥がれるかも」「施工不良等による隙間から雨漏りを起こすかも」といった心配はございません。
凹凸のあるベランダにも施工可能
ウレタン防水は液状のウレタン樹脂を塗り付けるだけですので、シーと防水のように切ったり貼ったりなどの作業がありません。
凹凸部分には上から塗料を塗れば良いだけですので、段差や複雑な形状にも問題なく対応することができます。
軽量で建物への負担が小さい
ウレタン防水は塗料を3mmほどになるまで塗り重ねる工法です。
そのため、アスファルト防水などと比較すると重量が非常に軽く、建物への負担をかけることがありません。
メンテナンス費用が比較的安価
ウレタン防水は施工後、表面保護のためにウレタン塗料の上からトップコートを塗布しています。
トップコートは5年程度で劣化してきて塗り替える必要がありますが、その分ウレタン防水で形成した防水層は傷みにくくなるため、15年程度は問題なく生活することができます。
重ね塗りができる
シート防水の場合は、経年劣化によって剥がれやめくれを起こしてしまうことがあります。
そうなると、そのシートを剥がしてから施行しなければならないため、手間や費用がかかってしまいます。
しかし、ウレタン防水は塗料ですので、表面を高圧洗浄機できれいにしさえすれば塗り重ねることが可能です。
材料の処分費用や人件費がその分かからないため、コストを抑えることができます。
ウレタン防水のデメリット
施工の難易度が高い
ウレタン防水は、塗料を職人が手作業で塗っていきます。
そのため、シート防水などと比べて職人の技術によって質が左右されてしまいます。
そのため、技術のある職人に依頼することが大切です。
乾燥が遅い
ウレタン樹脂は施工後の乾燥が遅いため、工程に余裕を持たせる必要があります。
雨が降った場合は数日施行ができないというケースもあります。
一方で、ベランダ防水一種であるFRP防水は乾燥が早く、バルコニーやベランダの場合1日〜2日で施行できることもあります。
密着工法と通気緩衝工法
ウレタン防水と一言に言っても、施工方法は密着工法と通気緩衝工法の2種類があります。
それぞれ違いがありますので、ケースに合わせて工法を選ぶ必要があります。
密着工法
ウレタン樹脂を下地に直接塗る工法です。
新築の場合や、劣化の程度が軽い場合に使用します。
メッシュシートや補強布を併用しても比較的早く施工できるため、工期も短く費用も安価で行うことができます。
しかし、下地に密着している分、下地の劣化などの影響を受けやすく、防水層に塗膜のひび割れや膨れが生じる可能性もあります。
密着工法の施工工程は以下の通りです。
①高圧洗浄
②ひび割れ箇所や劣化箇所の補修・目地のシーリング処理
③プライマーの塗布
④ウレタン防水材1回目塗装
⑤ウレタン防水材2回目塗装
⑥トップコート塗装
通気緩衝工法
絶縁工法とも呼ばれる通気緩衝工法は、下地と密着させない防水方法で、その分下地の影響を受けにくいメリットがあります。
そのため、水分が残っている下地にも施工することが可能です。
密着工法と通気緩衝工法の具体的な違いとしては、下地に通気緩衝シートを貼ること、脱気盤 (脱気筒)を設置することです。
通気緩衝シートとは、無数の穴が空いたシートで、これを貼ることで下地に含まれる水分による防水層のフクレを防ぎ、下地の挙動を緩衝することができます。
脱気筒とは、屋上の防水層と下地(コンクリートなど)の間に発生した水蒸気を排気するための筒のことです。
経年劣化によって傷んだり雨漏りを起こしたりしている下地は、数日経過しても水分を含んでいます。
この状態で密着後方を行うと、水蒸気の逃げ場がないため塗膜の膨れなどが生じる場合があります。
そのため、脱気筒や通気緩衝シートなどを使って、水蒸気を逃すようにする必要があるのです。
密着工法に比べてコストはかかりますが、下地の影響を受けないため耐久性に優れています。
ウレタン防水とFRP防水の見分け方
ベランダ防水には、ウレタン防水、FRP防水、シート防水、金属・板金防水などいくつか種類がありますが、主流なベランダ防水の工法は、ウレタン防水とFRP防水です。
ウレタン防水とFRP防水はどちらも継ぎ目がなく施工箇所の限定もないため、見分けがつきづらいです。
しかし、特徴を押さえておけば見極めることは可能ですので、参考にしてみてください。
防水層を触ってみる
一つは、防水層を触ってみる方法です。
ウレタン防水は、柔らかく弾力がある防水層のため、押すと少し柔らかみを感じたり、爪などで引っ掻くと跡が残ったりなど、柔軟性があるのが分かるかと思います(強く引っ掻きすぎると某水槽が破れてしまうため、適度な力で行うようにしてください)。
それに対してFRP防水は、繊維強化プラスチックでできており、強度・耐水性・形成性に優れています。
そのため、押しても固く、無機質な印象を受けます。
爪痕も残りません。
防水層表面の劣化の仕方を見る
ウレタン防水はとても滑らかな防水層を形成しますが、FRP防水はガラス繊維をネット状にしたものを貼り付けているため、表面が摩耗してくると細かな繊維が見えます。
ひび割れではなく蜘蛛の巣のようなものようが見えれば、FRP防水です。
FRPの上からウレタン防水は要注意
FRPとウレタン防水は、バルコニーやベランダなど、施工ができる箇所がほとんど同じであるため、ウレタン防水の上からFRP防水、FRP防水の上からウレタン防水など、上から違う種類で施工しても問題ないと思われがちですが、使用している材料自体は異なるため、塗膜の膨れを起こす恐れがあります。
また、ウレタン防水で施工できるからといって、陸屋根や大きなバルコニーなどにFRP防水を施工することはできません。
硬膜なFRP防水は、動きの大きな箇所への施工を行うとひび割れを起こす可能性があります。
このように、防水工事の改修には向き・不向きがありますので、既存防水層の種類を特定し、正しい補修工事を行えるように心がけましょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回はウレタン防水について、
【ベランダ防水の種類】
・FRP防水
・ウレタン防水
・シート防水
・コンクリート
・金属・板金防水
【ウレタン防水とは】
【ウレタン防水のメリット】
・継ぎ目がない仕上がり
・凹凸のあるベランダにも施工可能
・軽量で建物への負担が小さい
・メンテナンス費用が比較的安価
・重ね塗りができる
【ウレタン防水のデメリット】
・施工の難易度が高い
・乾燥が遅い
【密着工法と通気緩衝工法】
・密着工法
・通気緩衝工法
【ウレタン防水とFRP防水の見分け方】
・防水層を触ってみる
・防水層表面の劣化の仕方を見る
について説明してきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上、サニー建設商事でした。