【下塗り剤】シーラー・プライマー・フィラーの違いとは?役割や種類、分類について徹底解説!
こんにちは、「塗るばい」でお馴染みの佐賀県佐賀市の外壁塗装・屋根塗装専門の工務店「サニー建設商事」です。
外壁塗装について調べていると、塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが必要であることは知っている方も多いかと思います。
しかし、見積書の下塗りの欄やネットの記事を見ると、同じ下塗りでも「シーラー」「プライマー」「フィラー」などの言葉が並んでいて、
『「シーラー」「プライマー」「フィラー」はそれぞれどう違うの?』
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
今回はそんな方に向けて、
・シーラーって何?
・シーラーの目的って何?
・シーラーのメリットって何?
・シーラーとプライマーとフィラーの違いは?
・プライマーて何?
などの疑問にお答えしていきます。
それでは参ります。
Contents
シーラーについて
まずは、シーラーとは何かについて、プライマー、フィラーとの違いを踏まえながら説明します。
シーラーとは
シーラーは、「seal」=「接着する・覆い隠す・塞ぐ・密閉する」という英語が語源となっている用語です。
外壁塗装・屋根塗装では、まず塗装面の下地処理をしてから仕上げ塗料を塗る必要がありますが、その下地処理の段階で使用される塗料がシーラーです。
シーラーにはいくつかタイプがありますが、下地の素材、状態、使用する仕上げ塗料などに合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
シーラーは接着プライマーとも呼ばれており、シーラーとプライマーはほぼ同じものと考えてもらって問題ありません。
シーラーとプライマー・フィラーの違い
・またパテ効果とシーラー効果を合わせ持つフィラーと呼ばれる下塗り材もあります。
プライマー
プライマーは「primary」=「最初の・一番目の」という英語が語源となっている用語で、その名の通り「初めに塗る塗料」として下塗り塗料の総称となっています。
プライマーの主な役割は、塗布面と中塗り・上塗り塗料との密着性を高めることで、主な種類として防錆プライマーなどがあります。
シーラーとプライマーの違いとしては、プライマーがと譜面に塗装して機能をもたせるもの、シーラーは下地に吸い込ませて機能性をもたせるもの、という違いがあると言われています。
シーラーとプライマーはほぼ同じもの
ここまでシーラーとプライマーについて説明してきましたが、正確な定義はなく、シーラーとプライマーは同じものであるという考え方が一般的です。
フィラー
シーラーとプライマーはほぼ同じものですが、フィラーは少し違います。
フィラーは「filler」=「詰め物・埋めるもの・充填材」という英語が語源となっている用語です。
その名の通り、モルタル外壁のひび割れや凹凸を埋めて下地をなめらかにするための、補修用の下塗り材です。
シーラーとプライマーには水性と溶剤がありますが、フィラーには水性タイプしかなく、塗布量を多くできる「砂骨(さこつ)ローラー」を使って暑く塗ります。
フィラーの中には、シーラーとフィラーの機能を兼ね備えた「微弾性フィラー」などの種類もあります。
シーラーの役割
続いて、シーラーの役割を説明していきます。
外壁材と上塗り塗料を密着させる
1つ目は、外壁材と上塗り塗料を密着させる役割です。
下塗り用の塗料が「下地強化剤」と呼ばれていることからも、中塗り・上塗りと量を定着させる上で大切な役割を果たしています。
外壁材の色を隠して上塗り塗料の発色を良くする
2つ目は、外壁材の色を隠して上塗り塗料の発色を良くする役割です。
下塗りをせずにいきなり中塗り・上塗りを行うと、外壁材の色が透けてしまい、元々の塗料の色と違って見えてしまいます。
そこに着色された下塗り材を塗布することで、希望の色味で塗ることができるのです。
外壁材が余分に塗料を吸収しないようにする
3つ目は、外壁材が余分に塗料を吸収しないようにする役割です。
劣化した外壁材は、水分を吸い込みやすくなっています。
その状態の外壁に中塗り・上塗りをいきなり行うと、中塗り塗料が外壁に吸い込まれてしまい、塗料の効果が十分に発揮できなくなってしまいます。
また、塗料に気泡ができてしまったり、外壁材を逆に傷めたり、塗料の色斑が発生することにもつながってしまいます。
塗装面の下地を補強する
4つ目は、塗装面の下地を補強する役割です。
シーラーは下地の中に浸透していくため、劣化した下地を補強する役割もあります。
塗装面となる外壁材や屋根材は、住宅状況や経年によって劣化が起こります。
塗装というと、仕上げ塗料の色や機能ばかりに目がいきがちですが、住宅の耐久性を伸ばす大切な役割ももっています。
下塗りは、耐久性を伸ばすためにとても大切な工程なのです。
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シーラーの種類
シーラーは、水性シーラーと溶剤シーラーの2種類に分けられます。
この2種類のうちどちらを使うのかは、仕上げ塗料の性質に合わせて選びます。
例えば、仕上げ塗料が水性塗料の場合は水性シーラー、仕上げ塗料が溶剤塗料である場合は溶剤シーラーなどのように選びます。
下地のシーラーと仕上げ塗料の性質が合っていないと、塗装後に塗膜の剥がれなどの不具合が起きやすくなることもあるため、注意が必要です。
水性シーラーと溶剤シーラーについて、それぞれ説明していきます。
水性シーラー
まずは水性シーラーです。
水性シーラーには、合成樹脂エマルション型シーラーがあります。
合成樹脂エマルション型シーラーは、シーラーの中では最も普及していて、用いられる樹脂の種類には、
①100%アクリル共重合体(耐アルカリ、耐水性に優れている)
②アクリノレースチレン共重合体
③ベオパ系樹脂
などの樹脂が用いられています。
合成樹脂エマルション型シーラーは、シーラーに含まれる水分が蒸発する際に、樹脂の粒子が融合することで塗膜を形成します。
他のシーラーと比較しても、ポーラスな通気性のある塗膜になります。
塗布面の劣化が進んでいて吸収性が強い場合、下地面に急激に水が吸収されてしまうため、シーラーが下地内部に浸透する前に下地表面で粒子が融合して塗膜を作ってしまいます。
そのため、吸収性の強い下地に対しては浸透性が悪く、下地の補強効果も劣ってしまいます。
そのほかにも、臭いが少なく室内塗装にも適している点などがメリットです。
溶剤シーラー
溶剤シーラーは、以下の2種類に分けられます。
①熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー
②溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラー
それぞれ説明していきます。
熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー
熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーの代表的なものとしては、塩化ビニル樹脂系シーラーが挙げられます。
樹脂に使われるものとしては、
①塩化ビニル共重合体(対アルカリ性に優れる)
②塩素化ポリプロピレン
③塩化ゴム(天然ゴムを塩素化したもの)
などがあります。
熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラーは、溶剤が揮発する際に、通気性が少なく連続性のある塗膜を形成します。
下地への浸透性は合成樹脂エマルション型シーラーより高くなっており、ある程度の下地補強効果があります。
しかし、吸い込みの激しい下地に使用した場合は浸透性がうまく発揮できず、下地を補強する効果が弱くなります。
溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラー
溶剤型熱硬化性(反応効果型)合成樹脂シーラーの樹脂としては、
①2液型のエポキシ樹脂
②ポリウレタン樹脂
などの合成樹脂が用いられています。
溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーは、基剤と硬化剤で構成されており、2液(塗料と硬化剤が別々になっているもの)の反応硬化型シーラーです。
溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラーは、硬化前は合成樹脂自体も低分子・低粘度であるため、下地内部に浸透しやすく、また硬化する際に高分子化するため下地の補強効果があります。
他のシーラーは、もともとが高分子であるため下地内部への浸透性が劣ります。
また、耐水性、耐アルカリ性、耐薬品性にも優れています。
シーラーの機能性による分類
先ほど、シーラーを水性シーラーと溶剤シーラーに分けて説明しましたが、機能性でも分類できます。
①ヤニ止めシーラー
②カチオンシーラー
③コンクリート強化シーラー
の3つです。
それぞれ説明していきます。
ヤニ止めシーラー
主な適用下地…内装用ボード類、コンクリート、セメントモルタル、ALCパネル、スレート板など
ヤニ止めシーラーは、緻密な塗膜を形成するカチオン重合型アクリルシリコン樹脂が主成分のシーラーです。
タバコのヤニや雨染みなどのシミを抑えるシーラーです。
内壁や天井の塗り替えに使用する下塗り塗料で、浸透性、固着性に優れています。
さまざまな下地へ使用でき、色は塗料メーカーによって透明タイプとホワイトタイプがあります。
カチオンシーラー
主な適用下地…コンクリート、セメントモルタル、スレート板、各種旧塗膜、内装用ボード類、など
カチオンシーラーは、外壁・内壁の両方に使用できる下地塗料で、水性反応硬化系塗料、弱溶剤系塗料の下塗り塗料として頻繁に使われています。
薄い塗膜を作る「造膜型」と下地内部に浸透する「浸透型」があり、カラーの透明タイプとホワイトタイプがあります。
浸透性・密着性・経済性に優れていて、適用範囲が広いのが特徴です。
ただし、上塗り塗料の強溶剤型塗料を使うことはできません。
コンクリート強化シーラー
コンクリート強化シーラーとは、その名の通り、コンクリートやモルタルの表面を固めて塗料の吸い込みを抑え、補強する下地塗料です。
新打設及び老化したモルタル内部によく浸透し、下地を補強します。
耐久性に優れ、粉塵や埃の発生を予防します。
機能性によるプライマーの分類
水性プライマー
外壁のひび割れや苔カビなどの劣化症状が少なければ、水性タイプのプライマーを使用します。
サイディングやモルタルのほか、トタンや鋼板などにも使用可能で用途が広く、臭いが少ない・水性なので環境にも優しいのが特徴です。
注意点として、乾燥時間が少し長いため、油性のプライマ^に比べて塗装にかかる期間が長くなります。
水性のプライマーの上から油性の塗料を塗っても問題ありません。
浸透性プライマー
浸透性プライマーとは、先ほどの水性プライマーと違って油性タイプのプライマーです。
水性タイプよりもさらに浸透しやすいため、コンクリートなどの素材を塗装するときによく使用されます。
雨や凍結によって劣化している表面に浸透させて、耐久性を高める効果が期待できます。
乾燥時間も短いため、作業効率や塗装機関も水性プライマーに比べて短いです。
ただし、臭いがきついことや、産業廃棄物になるため、環境への負荷が懸念されています。
防錆プライマー
金属や鉄部に塗装するときに使われるのが、防錆プライマーです。
防錆効果が入っているため、上塗りとの密着度を保ちつつ、錆も防いでくれます。
サビの発生を抑えられれば、次の塗装の時に錆びた部分を削る(ケレン)工程が少なく済むため、メンテナンスコストの削減にもつながります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、
【シーラーについて】
・シーラーとは
・シーラーとプライマー・フィラーの違い
・プライマー
・シーラーとプライマーはほぼ同じもの
・フィラー
【シーラーの役割】
・外壁材と上塗り塗料を密着させる
・外壁材の色を隠して上塗り塗料の発色を良くする
・外壁材が余分に塗料を吸収しないようにする
・塗装面の下地を補強する
【シーラーの種類】
・水性シーラー
・溶剤シーラー
・熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー
・溶剤型熱硬化性(反応硬化型)合成樹脂シーラー
【シーラーの機能性による分類】
・ヤニ止めシーラー
・カチオンシーラー
・コンクリート強化シーラー
【機能性によるプライマーの分類】
・水性プライマー
・浸透性プライマー
・防錆プライマー
について説明してきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上、サニー建設商事でした。