遮熱塗料とは?種類やメリット・デメリット、断熱塗料との違い、耐用年数、おすすめ塗料について解説!
2022.10.09
こんにちは、「塗るばい」でお馴染みの佐賀県佐賀市の外壁塗装・屋根塗装専門の工務店「サニー建設商事」です。
営業の人やネットの記事などで、「遮熱塗料」の文字を目にしたことはありませんか?
「名前も知らなかった」
「名前は聞いたことあるけど、どんな塗料か分からない」
「断熱塗料と何が違うの?」
など、疑問に思う方もいらっしゃるかと思います。
今回はその遮熱塗料について、
・遮熱塗料の種類
・遮熱塗料のメリット
・遮熱塗料のデメリット
・遮熱塗料と断熱塗料の違い
・遮熱塗料の耐用年数
・遮熱塗料のおすすめメーカー・商品
についてご説明していきます。
弊社のyoutube チャンネルでも遮熱塗料に関して、実験結果などを交えながら詳しく解説していますので、サクッと内容を抑えたい方はこちらの動画もおすすめです。
それでは参ります。
Contents
- 遮熱塗料の特徴と仕組み
- 遮熱塗料の種類
- 一般的な顔料系遮熱塗料
- セラミック配合遮熱塗料
- 中空ビーズ系塗料
- 真空ファインセラミック塗料
- シラスバルーン系塗料
- 遮熱塗料のメリット
- 熱による屋根材の劣化を防ぐ
- 室温の上昇を抑えられる
- 節電や省エネにつながる
- 助成金を使って塗装工事ができる場合がある
- 遮熱塗料のデメリット
- 戸建て住宅には効果が薄い
- シリコン塗料よりもコストが高い
- 冬の保温効果がない
- 遮熱塗料と断熱塗料の違い
- 冬場の保温効果
- 塗料の単価(施工費用)
- 耐用年数
- 遮熱塗料の耐用年数
- 遮熱塗料のおすすめのメーカー・商品
- 日本ペイント:サーモアイ4F
- SK化研:クールタイト
- 関西ペイント:アレスクールSi2液
- ロックペイント:シャネツロック
- おわりに
遮熱塗料の特徴と仕組み
遮熱塗料とは、主に屋根塗装に用いられるもので、太陽光(近赤外線)を反射させる機能を持つ塗料のことです。
太陽光の反射率を高めることで、屋根に塗られた塗料や屋根剤に太陽の熱が吸収されるのを防ぎ、その結果室内の温度上昇を抑える効果があると言われています。
遮熱塗料を屋根に塗装した場合、屋根の表面温度を10度〜20度低下させる効果があり、結果として省エネや電気代の削減につながるとも言われています。
屋根の遮熱効果を高める他の方法として、遮熱機能付き屋根材や遮熱シートの採用などもありますが、施工の手間や価格から見ても、遮熱塗料を採用する方が比較的手軽だと言えます。
遮熱塗料の種類
遮熱塗料と一言で言っても、「一般的な顔料系遮熱塗料」と「セラミック配合遮熱塗料」の2つに分けられます。
基本的には、「遮熱塗料」と言った場合、「セラミック配合遮熱塗料」のことを指します。
一般的な顔料系遮熱塗料
「一般的な顔料系遮熱塗料」とはその名の通り、通常の顔料を含んだ遮熱塗料のことを言います。
上でも述べた通り、数は多くありません。
ほとんどの場合はセラミック配合遮熱塗料に分類されます。
セラミック配合遮熱塗料
セラミック配合遮熱とはその名の通り、セラミックを含んだ遮熱塗料のことを言います。
では、セラミックとはなんでしょうか?
セラミックとは、陶磁器全般を指すことばで、焼き物のことをいいます。
陶磁器やガラス、セメントなどがセラミックに分類されます。
耐候性を考慮すると、一般的な顔料系遮熱塗料よりもセラミック配合遮熱塗料がおすすめです。
セラミック配合遮熱塗料は、さらに以下の3つに分けられます。
・中空ビーズ系塗料
・真球ファインセラミック塗料
・シラスバルーン系塗料
セラミック配合遮熱塗料の大半は、中空ビーズ系塗料に分類されます。
中空ビーズ系塗料
上でも述べた通り、セラミック配合遮熱塗料の大半は中空ビーズ系塗料に分類されます。
中空ビーズとは、約60%の空気層を持つ多孔質セラミック(内部に多数の気孔(細孔、ポーラス)をもつセラミック)のことをいいます。
アメリカのNASAがスペースシャトルを打ち上げる際に、大気圏の熱を断熱するために応用した素材になります。
この中空ビーズの断熱機能やセラミックの反射機能に着目して屋根塗料として製品化されているのが、中空ビーズ系の抗日射反射率塗料です。
真空ファインセラミック塗料
真空ファインセラミック塗料と中空ビーズ系塗料では、反射率に関してはあまり大きな違いはありません。
ただし、反射できなかった熱の処理能力に関しては大きな違いがあります。
真空ファインセラミック塗料は熱伝導率が非常によく、反射できなかった熱を蓄積させることなく放熱するため、建材に熱を伝わりにくくしています。
そのため、精密機器などと言った最先端の分野でも使用されています。
シラスバルーン系塗料
シラスバルーン系塗料とは、シラス(日本の九州南部一帯に厚い地層として分布する細粒の軽石や火山灰)と呼ばれるものを熱処理して発泡させたシラスバルーンを含んだ塗料のことをいいます。
九州南部に分布するシラス大地のシラスを使った塗料ということになります。
遮熱塗料のメリット
熱による屋根材の劣化を防ぐ
遮熱塗料がもたらす大きなメリットは熱による「屋根材の劣化を防ぐ」ことです。
屋根材や外壁材といった建築材は、熱を蓄えることで劣化が進みます。
その蓄える熱が高ければ高いほど、劣化は進みやすくなると言われています。
遮熱塗料は、屋根材表面の温度を10度〜20度近く下げてくれます。
これにより、熱による屋根材の劣化を遅らせることができるのです。
室温の上昇を抑えられる
遮熱塗料のメリットの一つは、室温の上昇を抑えることができることです。
遮熱塗料を屋根や外壁に塗ることで、塗布面は太陽光を反射します。
その結果、屋根材に熱がこもりにくくなり、室温の上昇の抑制につながります。
実際の実証実験の結果として、遮熱塗料を塗っている屋根とそうでない屋根とでは、表面温度が10〜20度、室内温度が1〜3度下がると言われています。
節電や省エネにつながる
遮熱塗料の3つ目のメリットは、節電や省エネにつながることです。
上でも述べた通り、遮熱塗料を塗布することによって少しではありますが室温を下げることができます。
それにより、エアコンの使用量を10〜20%削減することが期待できます。
このように、省エネにつながるのもメリットと言えます。
助成金を使って塗装工事ができる場合がある
遮熱塗料による塗装のメリットの4つ目は、助成金を使った塗装工事ができる場合があることです。
自治体によっては、遮熱工事に助成金を給付しているケースがあります。
これは、遮熱工事による省エネ効果を期待したもので、一度の塗装工事につき10万円〜30万円ほどの助成金がおります。
すべての自治体でもらえるわけではないので、お住まいの自治体の助成金制度について調べてみることをお勧めします。
※弊社のある佐賀県佐賀市では、外壁塗装の助成金は行われておりません。
遮熱塗料のデメリット
戸建て住宅には効果が薄い
遮熱塗料の最大のデメリットは、戸建て住宅には遮熱効果があまりないことです。
理由は、日本の屋根の色と関係があります。
日本の屋根は、黒系が多く採用されています。
黒は光を集める性質を持っているため、遮熱塗料の効果を相殺してしまうのです。
元々、遮熱塗料は工場などの屋根によく使われる塗料です。
そのため、一般の住宅の屋根に向いているとは言えず、弊社でもおすすめはしていません。
シリコン塗料よりもコストが高い
遮熱塗料は、遮熱という付加機能を持っている分、シリコン塗料よりも塗料の値段が高くなります。
安価なシリコン塗料であれば1㎡あたり2,000円ほどですが、遮熱塗料は4,000円〜5,000円ほどかかってしまいます。
また、上でも述べた通り、戸建て住宅にはあまり遮熱の効果はありませんので、進んで遮熱塗料を選ぶ必要はないと言えます。
冬の保温効果がない
遮熱塗料は、あくまで熱を遮ることにおいてのみ効果がある塗料であり、室内の熱を止めることは考慮していません。
そのため冬場になると、外からの光による熱は遮られますが、室内の熱は通常の塗料と同じように外に逃げるため、冬の室内を暖かくしてくれるわけではないことに注意が必要です。
遮熱塗料と断熱塗料の違い
よく混合される塗料の種類として、遮熱塗料と断熱塗料があります。
この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。
簡単に下の表にまとめています。
遮熱塗料 | 断熱塗料 | |
冬の保温効果 | なし | あり |
塗料の単価 ※塗料により異なる |
2,500円~3,500円 | 3,500円~4,500円 |
耐用年数 ※塗料により異なる |
10年~15年 | 15年~20年 |
施工可能箇所 | 屋根・外壁 | 屋根・外壁 |
その他 | ・熱を反射し遮断する効果がある ・太陽光を反射して熱が壁に吸収されるのを妨げる ・夏の気温上昇を抑える |
・熱の伝導を絶つ効果がある ・断熱することで部屋と外の温度さを生みだす ・室内を快適な温度に保ち夏涼しく、冬は暖かい |
冬場の保温効果
遮熱塗料と断熱塗料の最も大きな違いは、冬場の保温効果です。
断熱塗料は、質尚の温度を逃さない効果を持っているため、冬の室内の暖かい空気を外に逃さない効果があります。そのため、冬でも室内は暖かいです。
一方で遮熱塗料は、室内の熱を逃さないといった効果はなく、単に外からの光を遮る効果のみですので、冬の室内が暖かく保たれるわけではありません。
塗料の単価(施工費用)
施工費用は、断熱塗料の方が遮熱塗料よりも1㎡あたり1000円近く高くなります。
その理由として、以下の2つが挙げられます。
1.断熱機能には、遮音・消臭機能などの付加機能を持つ塗料が多い
2.製造しているメーカーが他の塗料に比べて少ない
これらの理由から、断熱塗料の方が遮熱塗料よりも施工費用が高くなっているのです。
耐用年数
耐用年数は、遮熱塗料よりも断熱塗料の方が長いです。
塗料というのは、紫外線を吸収する役割を持つ樹脂が多く含まれているほど耐用年数は長くなります。
なぜなら、塗料は太陽光に含まれる紫外線で劣化し、効果が発揮できなくなるからです。
断熱塗料の方が樹脂を多く含まれていることが多い分、遮熱塗料よりも長持ちさせられます。
遮熱塗料の耐用年数
上でも説明した通り、遮熱塗料の耐用年数はおよそ10年〜15年ほどです。
一般的なシリコン塗料とほぼ同等の耐用年数と言えます。
代表的な商品で言うと、日本ペイントの「サーモアイSi」の耐用年数が10〜12年、SK化研の「クールタイトF」の耐用年数が8〜10年と言われています。
遮熱塗料のおすすめのメーカー・商品
日本ペイント:サーモアイ4F
サーモアイ4Fは、耐候性や光沢保持性などに優れた屋根用の遮熱塗料になります。
耐候性とは、天候の影響による劣化への耐えやすさを示す指標になります。
日本ペイントの4フッ化フッ素技術により、長期間にわたって遮熱機能を保持してくれます。
艶のある仕上がりになるため、屋根の見た目を美しく保ち、遮熱効果を長持ちさせたい方におすすめです。
費用相場 | 3,720円〜 |
日射反射率(白) | 91% |
耐用年数 | 12年〜15年 |
SK化研:クールタイト
クールタイトは、遮熱性や防汚性に優れており、40色以上のカラーを揃えている塗料です。
防カビや防藻の効果もあるため、遮熱効果も長く維持することができます。
お好きな色で塗装したい方や、汚れにくい外壁にしたい方におすすめです。
費用相場 | 5,400~6,300円程度 |
日射反射率(白) | 80%以上 |
耐用年数 | 5年~10年(クールタイトシリーズ) |
関西ペイント:アレスクールSi2液
アレスクールSi2液は、アクリルシリコン樹脂タイプで耐候性に優れています。
塗料の分類は、弱溶剤2液型アクリルシリコン樹脂系屋根用遮熱塗料になります。
また、遮熱効果に加えて、耐汚染性や防カビ性も持っています。
費用相場 | 3,500〜4,000円程度 |
日射反射率(白) | 約80% |
耐用年数 | 10年〜12年 |
ロックペイント:シャネツロック
ロックペイントが販売しているシャネツロックはシリコン系の遮熱塗料です。
シャネツロックの遮熱機能は外からの熱だけでなく内側からの熱にも有効で、遮熱効果と断熱効果を持つ塗料です。
費用相場 | 3,000〜3,500円程度 |
日射反射率(白) | -(カタログに記載なし) |
耐用年数 | 約10年 |
ャネツロックは、ロックペイントが販売しているシリコン系の遮熱塗料で、費用対効果が高い特徴があります。施工単価は、2,000円~3,000円程度で、耐用年数が10年~15年程度です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は遮熱塗料について、
【遮熱塗料の種類】
・一般的な顔料系遮熱塗料
・セラミック配合遮熱塗料
【遮熱塗料のメリット】
・熱による屋根材の劣化を防ぐ
・室温の上昇を抑えられる
・節電や省エネにつながる
・助成金を使って塗装工事ができる場合がある
【遮熱塗料のデメリット】
・戸建て住宅には効果が薄い
・シリコン塗料よりもコストが高い
・冬の保温効果がない
【遮熱塗料と断熱塗料の違い】
・冬場の保温効果
・塗料の単価(施工費用)
・耐用年数
【遮熱塗料のおすすめのメーカー・商品】
・日本ペイント:サーモアイ4F
・SK化研:クールタイト
・関西ペイント:アレスクールSi2液
・ロックペイント:シャネツロック
について説明してきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上、サニー建設商事でした。