防災瓦とは?仕組みやメリット、デメリット、寿命などについて解説!
2024.08.25
こんにちは、「塗るばい」でお馴染みの佐賀県佐賀市の外壁塗装・屋根塗装専門の工務店「サニー建設商事」です。
皆さん、屋根材の種類で「防災瓦」と呼ばれる屋根材を聞いたことはありますか?
今回は、その防災瓦についての内容です。
「防災瓦ってどんな瓦なの?」
「普通の瓦と何が違うの?」
などと疑問に思われる方もいらっしゃるかと思います。
今回はそのような方に向けて、
・防災瓦の仕組み
・防災瓦の寿命
・防災瓦のメリット
・防災瓦のデメリット
について解説していきます。
それでは参ります。
Contents
防災瓦とは
防災瓦とは、従来の瓦の弱点をなくして、従来の瓦に比べて地震や台風に強い瓦のことを言います。
従来の瓦(日本瓦)は日本の伝統的な屋根剤で、耐久性や断熱性、遮音性などに優れた非常に良い屋根材です。
しかし、非常に重量が重いことから耐震性に劣っており、災害に弱いという大きな弱点がありました。
実際、瓦屋根は「約45kg/㎡」、スレート屋根は「約20kg/㎡」、ガルバリウム鋼板は「約5kg/㎡」であり、瓦屋根はスレート(コロニアル)屋根の約2倍の重さだということが分かります。
特に地震大国の日本においては、耐震性は大事なポイントになってくると思います。
瓦屋根が「約45kg/㎡」なのに対して、防災瓦は「約35kg/㎡」と、約10kg/㎡もの軽量化に成功しています。
また、従来の瓦(日本瓦)は屋根に乗っているだけの状態だったため、強風や地震でズレたり浮いたりしてしまうことがありました。
しかし、防災瓦はロック式の工法で瓦同士の連結を強化しており、従来の瓦(日本瓦)よりも耐震性能を大幅に向上させています。
このことについては、また後ほど詳しく説明します。
瓦屋根のこれらの弱点を克服したのが防災瓦です。
瓦の和風な雰囲気が好きだという方にはおすすめの屋根材です。
日本瓦との仕組みの違い
日本瓦の仕組み
日本瓦の仕組みは、大きく分けて以下の2つがあります。
1.土葺き工法
2.引っ掛け桟瓦葺き工法
土葺き工法
野地板(屋根の下地である木材)の上に葺き土と呼ばれる土を敷き詰め、その上に瓦を葺くという工法のことです。
釘などは一切使用せず、土を乾燥させることで瓦を固定していたため、非常に瓦が落下しやすい工法でした。
さらに、河原の重さに加えて葺き土の重さも加わっているため、非常に屋根重量の重い住宅となっていました。
このような構造の背景には昔の考え方として、地震などが発生した場合は重量の重い瓦をあえて落下させることで住宅倒壊を防ぐというものがあったそうです。
引っ掛け桟瓦葺き工法
野地板に一定間隔の桟木(さんぎ:瓦を引っかけるために屋根に設置する細長い材料)を打ち、その桟木に瓦を引っ掛けて固定する工法です。
土葺と違って瓦を桟木に釘で固定するため、落下しにくい特長があります。
しかし一方で、桟木の腐食や衝撃などで固定している部分が外れると、瓦が滑り落ちやすくなるという問題もありました。
防災瓦の仕組み
防災瓦の仕組みは、大きく分けて以下の2つがあります。
1.ロックアームによる瓦の固定
2.野地板に釘を打ち付けて固定
ロックアームによる瓦の固定
防災瓦は、従来の日本瓦にはなかったロックアームと呼ばれる工法で瓦同士を固定します。
瓦同士を固定することで瓦同士の連結力が向上し、ズレや浮きを起こしにくくすることができます。
なかでもオーバーラップロック方式と呼ばれる、引っ掛ける”カギ”になるアームをオーバーラップロックの”穴”に入れ込む構造の瓦がおすすめです。
このように、防災瓦はロックアームで瓦同士を固定することで、屋根の耐震性能を大きく向上させているのです。
野地板に釘を打ち付けて固定
先ほども説明した通り、従来の瓦は瓦桟と呼ばれる木材の板の上に瓦が乗っているだけの状態でした。
一方で、防災瓦は屋根の土台の野地板に釘を打ち付けて固定します。
これにより、瓦同士の連結と、瓦と野地板の連結の両方を可能にしたことで、耐震性能が飛躍的に向上しました。
防災瓦のメリット
地震や台風でズレ・落下が起きにくい
一方で、防災瓦は特殊なロック構造になっており、瓦同士がしっかり結束するようになっています。
さらに、ビスやクギなどで瓦を一枚ずつ野地板(屋根の下地である木材)に固定するため、ズレや落下などの危険性が大幅に軽減されています。
塗装の必要がない
防災瓦は従来の日本瓦の重量の問題点を克服した屋根材ですが、その優れた耐久性は変わっていません。
従来の日本瓦と同じく、30年以上塗装の必要がありません。
スレート屋根やガルバリウム屋根が10年〜15年に1度の塗装をしなければならないと考えると、塗装2〜3回分のメンテナンスコストをかけずに済むことができると言えます。
そのため、長い目で見てコストパフォーマンスの良い屋根材です。
従来の日本瓦よりも軽い
防災瓦は、従来の日本瓦の重量の問題点を克服した屋根材です。
従来の日本瓦が約45kg/㎡であるのに対し、防災瓦は約35kg/㎡です。
1枚当たりだと10kgの差しかありませんが、それが1000枚ある場合、重量差は10tにもなります。
これらのことから、住宅にかかる負担が軽減されることが分かるかと思います。
遮音性・遮熱性に優れている
防災瓦の原料となる粘土には、音や熱を吸収する性質があります。
加えて熱を蓄える容量も多く、野地板や小屋裏に日差しの熱が伝わるのを防いでくれます。
引っ掛け桟瓦葺き工法によって空気層ができるため、それによっても遮音性や遮熱性を可能にしているのです。
軽量瓦のデメリット
設置費用が高い
防災瓦の最大のデメリットは、スレート屋根やガルバリウム屋根などの他の屋根剤に比べて高価になってしまうことです。
防災瓦とは大きな価格差はありませんが、スレート屋根や金属屋根などと比べると高価になります。
理由としては、防災瓦の商品単価が高いことに加えて、引っ掛け桟瓦葺き工法などの手間がかかる施工を行うためです。
ただし、だからと言って防災瓦は導入しない方がいいかというとそうではありません。
防災瓦は30年以上の間塗装の必要がないメンテナンスフリーな屋根材であるため、他の屋根材であれば必要になる塗装のメンテナンスコストがかかりません。
そのため、ご予算に余裕のある方は、防災瓦を設置して長い目で見てトータルコストを安く済ませることが可能になるのです。
スレートやガルバリウムと比べると重い
防災瓦は、従来の日本瓦の約45kg/㎡に比べて約35kg/㎡と、約10kgも軽くなりました。
ただし、それはあくまで従来の日本瓦と比べての話です。
それ以外のスレート屋根やガルバリウム屋根などと比べると、以下の表からも分かる通り、軽い方ではありません。
屋根の種類 | 1㎡あたりの重量 |
防災瓦 | 約35kg/㎡ |
日本瓦 | 約45kg/㎡ |
ガルバリウム鋼板 | 約5kg/㎡ |
スレート屋根 | 約20kg/㎡ |
屋根の軽さだけに注目するのであれば、防災瓦の重さはデメリットになります。
防災瓦の寿命
防災瓦は日本瓦と耐久年数は変わらず、瓦そのものは約30年も持つと言われています。
ただし、漆喰などは劣化は進みます。
それでも塗装が必要な他の屋根剤に比べると、防災瓦は塗装の必要がないメンテナンスフリーの屋根材であるため、メンテナンスコストは大幅に安く済みます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、防災瓦について説明してきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上、サニー建設商事でした。