外壁塗装に使う道具って何があるの?用途別で徹底解説
2022.11.27
こんにちは、「塗るばい」でお馴染みの佐賀県佐賀市の外壁塗装・屋根塗装専門の工務店「サニー建設商事」です。
今回は、外壁塗装で使う道具についてです。
この記事では、外壁塗装に使う道具について、塗装箇所や目的ごとに分けて説明していきます。
それでは参ります。
目次
広い場所の塗装:ローラー
外壁塗装といえば、外壁の広い場所を塗る様子を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
この際に使用する道具がローラーです。
塗装工事全体の8割を占めるといっても過言ではありません。
このローラーには、いくつか種類があります。
羊毛ローラー(ウールローラー)
1つ目は、羊毛ローラー(ウールローラー)
ローラーの種類の中でも、最も使われる頻度が高いローラーです。
「ウールローラー」「ウーローラー」などと呼ばれる場合もあります。
羊の毛のような柔らかい繊維でできたローラーで、外壁の模様をつぶすことなくそのまま塗装することができます。
また、塗膜の厚さを均一にしたまま塗りやすく、施工性にも優れています。
マイクロファイバーを使用したマイクロファイバーローラーも、羊毛ローラーと同じ種類です。
羊毛ローラーは、毛足の長さによって、短毛、中毛、長毛の3種類に分けられます。
それぞれの毛足の長さと特徴は以下のようになっています。
ローラーの名前 | 毛足の長さ | 特徴 |
短毛ローラー | 5mm前後 | 平で凹凸のない面を塗りやすいローラーです。また、目地など、凹んだ部分を塗りたくないときにも使われます。 |
中毛ローラー | 13mm前後 | 中間の毛の長さのローラーです。この3種類の中でも、最も様々な場所に使われているローラーです。 |
長毛ローラー | 20mm以上 | 長い毛のローラーのため、ある程度の凹凸も一緒に塗ることができます。表面が凸凹しているところや、タイルを溝ごと塗る場合などに使用します。 |
砂骨ローラー(さこつローラー)
2つ目は、砂骨ローラーです。
ローラーの中にたくさんの空洞があることが特徴で、塗料を一度にたくさん吸い上げることができます。
主に、塗料を分厚く塗りたいときに使われます。
そのほかにも、単層弾性塗料と呼ばれるような、ドロドロで粘度の高い塗料を塗るときにも使われるローラーです。
羊毛ローラーと合わせてよく使い分けられるローラーです。
砂骨ローラーの他の呼び方
実は、砂骨ローラーにはいくつか別称があります。
呼び方は違いますが、すべて砂骨ローラーのことを指しているとお考えください。
・砂骨ローラー
砂骨とは細かい砂などが混ざったもののことで、以前は砂骨入り塗料を塗るためのローラーとして使われていたため。
・マスチックローラー
マスチック塗料(外壁に1段塗りで厚みのある膜に仕上げる方法)を塗る為のローラーとして使われていたため。「マスチック」という言葉には、大量に塗り固めるという意味もある。
・多孔質ローラー
多孔質とは小さい穴が空いていることで、その名の通り小さい穴がたくさん空いているため。
・パターンローラー
「パターン」とは模様のことを指し、塗るだけで模様をつけられるため。ロールスタンプのように、塗るだけでより本格的な模様が出てくるローラーもある。その場合は、デザインローラーとも呼ばれる。
・スポンジローラー
スポンジのようなローラーであるため。
その他の加工用のローラー
広い場所を塗る道具としてローラーを紹介してきました。
羊毛ローラーや砂骨ローラーは塗るための道具ですが、それ以外の使い方をするローラーもあります。
主な加工用のローラーは、以下の2つがあります。
・ヘッドカットローラー(抑えローラー)
・脱泡ローラー
吹き付け塗装で凸凹を作った後に、その凸凹をあえて潰して模様を作る工法を行う際に、ヘッドカットローラー(抑えローラー)を使用します。
防水工事などのシートを貼り付けるときに、シートの密着性を高めるために空気を抜く必要があります。
そのときに使用するのが脱泡ローラーです。
このように、ローラーには様々な種類があるのです。
狭い場所の塗装:刷毛
広い場所を塗る道具としてローラーを紹介してきましたが、塗装工事にはローラーでは塗ることが難しいような狭い場所もあります。
そういった狭い場所の塗装に使われる道具が刷毛(はけ)です。
刷毛の歴史は非常に古く、縄文時代から原型があったとも言われています。
外壁塗装でよく使われるのは、以下の5つです。
1.平刷毛(ヒラ刷毛)
2.筋交い刷毛(すじかいばけ)
3.寸胴刷毛(ずんどうばけ)
4.目地刷毛(めじばけ)
5.隅切り刷毛(すみきりばけ)
これらを合わせた主な刷毛の特徴は、以下のようになっています。
刷毛の名前 | 特徴 |
平刷毛 | 平らな刷毛で、刷毛の中では広い面積を塗ることができます。以前は平刷毛をメインに塗装工事が行われていましたが、今ではローラーが最も使われます。ベタ刷毛とも呼ばれます。 |
筋交い刷毛 | 柄に対して、毛が生えている部分から45度の角度で曲がっている刷毛。角や細いところなどの細かいところを塗るのに向いています。 |
寸胴刷毛 | 平ではない、寸胴のような刷毛。塗料の含みに優れているため、たくさんの塗料を一度に塗ることができます。粘度の高い塗料も寸胴刷毛で塗ることができます。 |
目地刷毛 | 細い刷毛で、溝や目地などの細かいところを塗るのに使う刷毛です。コーキングのプライマー塗布などにも使われます。 |
隅切り刷毛 | 隅とはすみっこのことで、端や狭いところなど、主に補修用に使われる刷毛です。ダメ込み刷毛と同じような形状です。 |
ラスター | ダスターとも呼ばれる道具で、主に掃除などに使われる刷毛です。 |
鉄骨刷毛 | 鉄骨などの金属部に使われる刷毛です。 |
水性刷毛 | 水性塗料を塗るのに向いている刷毛で、主にナイロンなどの化学繊維からできています。獣毛だと刷毛の中で塗料が固まってしまうため、固まらない水性専用の刷毛が作られました。100%化学繊維のものと、獣毛との組み合わせで作られているものがあります。 |
これらが、主に外壁塗装で使われる刷毛です。
8種類の刷毛を説明しましたが、このほかにも数種類の刷毛があり、職人はこの中から適切な刷毛を選んで塗装工事を行います。
さらに、刷毛に使われる毛にもいくつか種類があります。
溶剤系の塗料には獣毛、水性の塗料には化学繊維が使われています。
獣毛と一言で言っても、馬や羊、豚、ヤギなどの毛が使われており、それぞれまとめると以下のようになっています。
特徴 | ||
馬 | 尾 | 別名天尾(あまお)。 毛が長く塗装の刷毛として最適。高級刷毛によく使われている。 |
たてがみ | 別名振毛(ふりげ)。尾の次によく使われる部分の毛。 | |
胴 | 滑らかな毛。 | |
足 | 別名馬蹄毛(ばていもう)。 最高級の刷毛に使われます。 | |
ヤギ | 尾 | 別名ヤンオ。白い刷毛の高級品に使われている。 |
アゴ | 別名ヤンス。艶と弾力性がある刷毛。 | |
脇腹 | 別名スペシャル。 刷毛のボリュームを増すために使われる。 | |
背中 | 別名白細(しろぼそ)。 ニス用の刷毛などの原料になります。 | |
つま先 | 別名上爪峰。 耐久性が高い刷毛として使われます。 | |
ブタ | 高粘度塗料用の刷毛やダスターなどに使われる堅い毛。 | |
化学繊維 | 水性塗料用の刷毛に使われる。 |
特に、馬とヤギは体の場所によってもそれぞれ違う特徴の毛が生えているため、同じ馬やヤギの刷毛でも様々な種類を作ることができます。
ちなみに、羊毛刷毛というのもありますが、皆さんが知っている羊とは違い、中国産のヤギの毛のことを羊毛刷毛と呼ぶようです。
これ以外にも動物の毛が使われている場合がありますが、外壁塗装用の刷毛の原料はおおむね上記のようになっています。
雨戸や玄関ドアの塗装:スプレーガン
塗料を専用の容器に入れて噴出することで外壁に塗布していく工法を吹き付け塗装と言います。
塗りムラができにくいことや、施工時間を短縮できることなどから以前は主流な広報として行われていましたが、現在では外壁の塗装には使われなくなってきています。
スプレーガンによる吹き付け塗装が利用されなくなった背景には以下の理由が挙げられます。
・シンナーも混ぜて噴出するためシンナーの臭いが周りに広がる
・塗料を大量に使う。
・塗料をまき散らすため養生が非常に大変
・スプレーガンでしか出来なかった模様が出来るローラーが作られた
ただし、吹き付け塗装は塗りムラができにくく、仕上がりが良いメリットがあります。
雨戸や玄関ドアなどの鉄部では、塗りムラが特に目立ちやすいため、吹き付けで塗装を行う必要があります。
また、凹凸の激しいモニエル瓦やセメント瓦では、ローラーを使うと人件費がかなりかかってしまうため、吹き付け塗装を行います。
エアスプレーとエアレススプレー
吹き付け塗装には、エアスプレーとエアレススプレーの2種類があります。
エアスプレーとは、空気を圧縮して噴出し、それと一緒に塗料も噴出すると言うものです。
空気が混ざっている分塗料が細かく分散され、塗りムラがよりできにくいです。
玄関ドアや雨戸など、塗りムラが目立ちやすいところには、塗りムラができにくいエアスプレー(カップガン)を使います。
スプレーガンの丈夫に塗料入れ(カップ)がついているものが重力方式、下部についているものが吸い上げ方式、別のタンクに入れるのが圧送方式など、いくつか種類があります。
一方、エアレススプレーとは、空気を使わずに塗料そのものを圧縮して噴出するものです。
空気を使わない分塗料にそのまま圧力がかかるため、一度に多くの塗料が噴出されます。
セメント瓦、モニエル瓦の吹き付け塗装に使います。
ちなみに、外壁塗装では使いませんが、静電エアスプレーというものもあります。
これは、静電気によって強力に塗料を吸い付けさせるもので、ふわっと霧吹きのように出ながらも、しっかりと密着する優れものです。
今はまだ使われていない静電エアスプレーですが、外壁塗装でも使われるようになる日も近いかもしれません。
養生に使う4つの道具
ここまで、広い場所の塗装道具としてローラー、狭い場所の塗装道具として刷毛、雨戸の塗装道具としてスプレーガンを紹介してきましたが、塗らない場所に使う道具もあります。
塗らない場所をビニールやテープで覆うことで、塗料が付着しないようにするのです。
このことを養生(ようじょう)と言います。
主な養生の道具について説明します。
マスキングテープ
マスキングテープというと、文房具店に置いてある柄入りのものを見たことがある方もいらっしゃるかと思います。
実は、あのマスキングテープは外壁塗装にも使われているのです。
ただし、100円均一にあるようなマスキングテープを使うことはお勧めしません。
なぜなら、外壁塗装の養生に使うマスキングテープには、求められる機能が多いためです。
外壁塗装の養生に使うマスキングテープは、屋外で使うものであるため、粘着力が求められますが、後から必ず剥がすため、剥がれやすさも求められます。
そのため、品質の良いものを選ぶ必要があります。
外壁や屋根の質によっては、マスキングテープが張り付かない場合があります。
その場合は、テーププライマーと呼ばれる塗料を使って、テープをくっつきやすくします。
養生シート
養生シートとは、基本的には透明のビニールシートのことを指します。
足場の周りを囲むように張るシートを養生シートと呼ぶ業者もいますが、あれは(塗料)飛散防止シートと言って、基本的には養生シートというと透明のビニールシートのことを言います。
(塗料)飛散防止シートは、ソフトメッシュシートとも呼ばれます。
養生シートは、外壁を塗装する際に窓枠などを覆うように取り付けるものを指します。
カッターやハサミを使わなくても手で切れるノンカッタータイプというものが便利です。
マスカー
マスカーは、外壁塗装の養生に合わせて作られた商品で、マスキングテープと養生シートが一緒になったもののことを指します。
シートを押さえながらテープで止める作業が必要ないため、DIYでも大いに活躍する道具です。
ガムテープほどの太さしかないですが、貼り付けた後にビニール部分だけ広げることができるため、広範囲を簡単に養生することができます。
車用・バイク用養生カバー
外壁塗装をする際、塗料が車に飛散しないようにする必要があります。
その際に使う道具が、車用・バイク用の養生カバーです。
車やバイクを一台まるまる覆えるほどの大きさで、施主様の車や、隣家の車などもこれで覆います。
塗装前の下地処理(ケレン)に使う2つの道具
外壁塗装では塗装の工程が注目されがちですが、塗装の耐久年数を伸ばすために不可欠なのが、下地処理(ケレン)です。
下地処理(ケレン)で旧塗膜をしっかりと落とすことで、塗料の密着性を高めることができるのです。
高圧洗浄機でも旧塗膜は落とせますが、それ以外でも様々な道具が使われます。
サンドペーパー
サンドペーパーとは、紙やすりと同じものと考えてください。
ケレン作業や、目荒らし(塗料の密着性を高めるために表面をわざと傷つけること)などの下地処理に使われたり、場合によっては玄関ドアの仕上げなどにも使われます。
サンドペーパーは目の粗さによって番号で分類されており、番号が決められています。
数が小さいほど目が粗く、数が大きいほど目が細かくなります。
例えば、40番(#40とも書く)などは目が非常に粗いため、塗膜を剥がし落とすときに使います。
平均的な粗さは200番前後で、400番前後となると外壁塗装時に使う中では細かい部類になります。
2000番などもあるにはありますが、外壁塗装で使われることはありません。
DIYを行うのであれば、40〜400番の間を4種類ほど持っていると良いです。
サンドペーパーよりもさらに粗く強く削り落としたい場合は、ナイロンタワシ(ハンドパッドとも言う)や、ワイヤーブラシなどを使います。
このように、様々な下地処理の道具を効率よく使うことで、サビや旧塗膜を落とします。
皮スキ(かわすき)
「皮スキ」とは、「皮剥き」と表します。
金属製のヘラで、様々なことに使う万能な道具です。
DIYを行う場合は、一つ持っておくと良いものの一つです。
塗装の職人は、この皮スキを使って様々なことを行います。
以下はその一例です。
・高圧洗浄で落ちきらなかった塗膜の剥がれや、剥離剤を使って浮かせた旧塗膜を金属部分で削ぎ落とす(ケレン作業)。
・スレート屋根が塗料でくっついてしまったところをバリバリと剥がす(縁切り作業)
・と良寛の蓋がきっちりはまっていたり、塗料で固まっている場合に皮スキで空ける
・塗料缶がふた式ではなく缶切り式だった場合、皮スキを使って缶を空ける
コーキングの打ち替え・打ち増しに使う5つの道具
最後に、コーキングの打ち替えや打ち増しに使う5つの道具です。
コーキングの撤去:カッター
コーキングの撤去には、カッターを使います。
外壁とコーキングの隙間に切れ目を入れて剥ぎ取ります。
中には、スクレーパーと呼ばれる道具を使う業者もありますが、どちらもコーキングの撤去のために使うものです。
コーキングの養生:マスキングテープ
コーキングの養生には、先ほども説明したマスキングテープを使います。
粘着力があり、尚且つ剥がれやすいものをこのように貼っていきます。
コーキングのプライマー塗布:刷毛
コーキングのプライマーの塗布には、刷毛を使います。
刷毛にもいくつか種類がありますが、ここで使われるのは「目地刷毛」と呼ばれるものです。
コーキングのような、特に狭い場所の塗装に向いています。
コーキングの充填:コーキングガン
コーキングの充填には、コーキングガンを使います。
下の写真のようなものに、コーキングをはめ込んで使います。
引用元:https://axel.as-1.co.jp/asone/d/63-5457-69/
コーキングの均し:ヘラ
コーキングの均しには、ヘラを使います。
使う用途に合わせて、形状やサイズ、材質の種類が分かれます。
材質は、ポリアセタールやステンレスなどがあります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、外壁塗装の道具について、
【広い場所の塗装:ローラー】
・羊毛ローラー(ウールローラー)
・砂骨ローラー(さこつローラー)
・砂骨ローラーの他の呼び方
・その他の加工用のローラー
【雨戸や玄関ドアの塗装:スプレーガン】
・エアスプレーとエアレススプレー
【養生に使う4つの道具】
・マスキングテープ
・養生シート
・マスカー
・車用・バイク用養生カバー
【塗装前の下地処理(ケレン)に使う2つの道具】
・サンドペーパー
・皮スキ(かわすき)
【コーキングの打ち替え・打ち増しに使う5つの道具】
・コーキングの撤去:カッター
・コーキングの養生:マスキングテープ
・コーキングのプライマー塗布:刷毛
・コーキングの充填:コーキングガン
・コーキングの均し:ヘラ
について説明してきました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上、サニー建設商事でした。