【保存版】モルタル壁の種類、メリット・デメリット、劣化症状、メンテナンス方法、塗装の費用相場について一挙解説。
2022.01.02
目次
はじめに
こんにちは、佐賀市の外壁・屋根塗装専門店「サニー建設商事」の江川です。
今回は、モルタル壁についての記事になります。
モルタル壁とは、下の写真のような外壁材のことを言います。
この記事では、
モルタル壁の種類
モルタル壁のメリット・デメリット
モルタル壁の劣化症状
モルタル壁のメンテナンス方法
モルタル塗装の費用相場
について説明していきます。
それでは参ります。
モルタル壁とは・特徴
モルタル壁とは、セメント・水・砂を2:1:5の比率で混ぜ合わせた外壁材のことを指します。
主に、1990年代以前に戸建ての家でよくみられる外壁材の種類の一つです。
現在はサイディングボードを外壁材とする家が主流となっており、新しく建てられる家にモルタル材が使われることは昔に比べると少なくなってきています。
モルタル壁の特徴は、職人による手作業の部分が多い、という点です。
現在の家の主流であるサイディングボードは工場である程度完成したボードを貼り付けていくのに対し、モルタル壁の場合は、職人さんが手作業で塗っていく工程が大部分を占めます。
モルタル壁の種類
ここまで、
・モルタル壁は1990年代以前に建てられた家の主な外壁材で、セメント、水、砂を混ぜたものであること
をご説明してきました。
モルタル壁は、表面の仕上げ方によって種類が分かれます。
ここでは、主な仕上げ方の種類を紹介していきます。
リシン吹きつけ
樹脂やセメント、着色剤などを混ぜた塗料に骨材(こつざい:細かい石や砂など)を加えたものをリシンといい、これを外壁に吹きつける仕上げ方法を「リシン吹きつけ」といいます。
骨材(こつざい)が入っているため細かくざらざらした表面になっており、マットな(光沢が無い)印象になります。
最もスタンダードな種類の一つで、比較的安価で新築でも多く使われています。
スタッコ
スタッコはリシン吹き付けと同様に吹きつけガンで作る仕上げ方法ですが、リシンに比べて模様が大きく、その分立体感があるのが特徴になります。
また、重厚感や高級感があるのが特徴です。
スタッコには、吹きつけるだけで完成とする「吹き放し仕上げ」と、吹きつけた後、固まる前にローラーで凹凸を潰す「ヘッドカット(凸部処理)仕上げ」の2種類があります。
上の写真は、この2種類のうち「ヘッドカット(凸部処理)仕上げ」の方になります。
吹きつけタイル
先ほど説明したリシンやスタッコと違い、骨材(こつざい:細かい石や砂など)を入れずに専用のガンで吹き付けて作る仕上げ方法です。
骨材がない分ザラザラ感は薄く、滑らかな質感になるのが特徴になります。
スタッコと同様に、吹きつけタイルの中でも吹きつけるだけで完成とする「吹き放し仕上げ」と、吹きつけた後、固まる前にコテやローラーで凹凸を潰す「ヘッドカット(凸部処理)仕上げ」の2種類があります。
リシンかき落とし
リシン(樹脂やセメント、着色剤などを混ぜた塗料に細かい石や砂などを加えたもの)を厚めに塗ったあと、生花の剣山のようなもので表面をひっかいて作る仕上げ方法です。
表面の凸凹が細かくなるため、とても穏やかで落ち着いた雰囲気になることが特徴です。
ただし、その分手間がかかる仕上げで費用は高くなるため、高級住宅などで使われることが多いです。
左官仕上げ
左官仕上げとは、職人がコテと呼ばれる道具で模様を作る仕上げ方法です。
模様のパターンはコテの使い方次第で変えることができるためデザイン性に優れているのが特徴で、オシャレな店舗の内装などに使われることもあります。
モルタル壁のメリット・デメリット
ここまで、
・モルタル壁は1990年代以前に建てられた家の主な外壁材で、セメント、水、砂を混ぜたものであること
・モルタル壁には、リシン吹きつけ、スタッコ、吹きつけタイル、リシンかき落とし、左官仕上げの5種類があること
をご説明してきました。
ここからは、モルタル壁のメリットやデメリットについてご説明していきます。
モルタル壁のメリット
まずは、モルタル壁のメリットについて説明していきます。
おしゃれで温かみのある風合い
1つ目は、おしゃれで温かみのある風合いであることです。
モルタル壁はざらざらとした壁面が特徴的で、それが独特の温かみのある雰囲気を醸し出してくれます。
また、先ほど説明した5つの種類の仕上げ方法がありカーブをつけたりすることもできるため、デザインの自由度が高く、和風と洋風、どちらのお家にも合わせることができるのがモルタル壁の良い点だと言えます。
耐火性に優れている
2つ目は、耐火性に優れていることです。
モルタルは、水や砂、セメントなどの不燃性のものを主成分としています。
そのため耐火性に非常に優れており、火災時に燃え広がりにくく、建築基準法で「不燃材料」という最も火災に強い材料として認められていることからも大きなメリットだと言えます。
コーキングの補修が不要
3つ目は、サイディングボードと違って継ぎ目となるコーキングがないため、コーキングの補修が不要であることです。
現在主として用いられているサイディングボードの家には継ぎ目となるコーキングがあり、外壁とは別でメンテナンスを行う必要があります。
一方で、モルタル壁にはそのコーキングがないため、補修の手間がかからないのはメリットのひとつと言えます。
モルタル壁のデメリット
ここまでモルタル壁のメリットについて説明してきましたが、もちろんデメリットもあります。
ひび割れ(クラック)が起きやすい
1つ目は、外壁にひび割れ(クラック)が起きやすいことです。
これがモルタル壁の最も大きなデメリットと言っても過言ではありません。
先ほどメリットとしてコーキングがないことを挙げましたが、ここではデメリットとして影響します。
コーキングは衝撃を吸収してくれる緩衝材の役割を果たしてくれます。
この緩衝材がないため、衝撃が外壁に直接伝わってしまい、結果としてひび割れ(クラック)が起きやすくなってしまいます。
苔・カビ・汚れがつきやすい
2つ目は、苔やカビ、汚れなどが付着しやすいことです。
理由は単純で、外壁面がざらざらしているためです。
苔やカビは日光が当たりづらいところや湿気がある環境を好みます。
モルタル壁はざらざらしていることから水分の蒸発がしづらく、その分湿気を含みやすくなり、苔やカビ・汚れといったものが付着しやすくなるのです。
工期が長い
4つ目は、工期が長いことです。
モルタル壁の施工は、職人による手作業になります。
そのため、ある程度完成されたものを貼り付けるサイディングボードの工法よりも手間がかかり、結果として工期も長くなってしまいます。
費用が高い
5つ目は、費用が高いことです。
これは、工期が長いデメリットに関連しています。
工期が長くなるということは、その分人件費が多くかかってしまいます。
モルタル壁の劣化症状
ここまで、
・モルタル壁は1990年代以前に建てられた家の主な外壁材で、セメント、水、砂を混ぜたものであること
・モルタル壁には、リシン吹きつけ、スタッコ、吹きつけタイル、リシンかき落とし、左官仕上げの5種類があること
・メリットとして温かみ、コーキングメンテナンスの不要性、耐火性、デメリットとしてクラックの起きやすさ、苔やカビなどがつきやすいこと、工期の長さ、費用の高さがあること
をご説明してきました。
ここからは、モルタル壁の劣化症状についてご説明していきます。
塗膜の浮き・剥がれ
1つ目は、塗膜の浮き・剥がれで、その名の通り塗膜の表面が浮いたり剥がれたりしている状態です。
塗膜の浮きや剥がれが起こると、剥がれた場所から水が入ってモルタル壁が弱まったり、内部にまで劣化が進んで雨漏りにつながったりする危険性があります。
この症状が見られたら、早急にメンテナンスを行うことをお勧めします。
クラック(ひび割れ)
2つ目は、外壁のクラック(ひび割れ)です。
先ほどのモルタル壁のデメリットでも説明した通り、モルタル壁は衝撃の緩衝材となるコーキングがないため、クラック(ひび割れ)が起こりやすくなります。
原因としては、経年劣化の場合や、乾燥する過程で膨張と収縮を繰り返す場合、地震や地盤沈下の場合などがあります。
ひび割れはヒビの幅や深さから、ヘアークラックと構造クラックに分けられます。
苔・カビ・汚れの発生
3つ目は、苔・カビの発生です。
これも、先ほど説明したモルタル壁のデメリットと少し重複するのですが、モルタル壁は壁面がざらざらしていることから水分が蒸発しにくいため、湿気が溜まりやすく、苔やカビの繁殖しやすい環境を作りやすくなっています。
苔は美観を損なうという問題ももちろんあるのですが、それよりも、アレルギーの原因となる場合があるため、長く放置するのはお勧めしません。
チョーキング
4つ目はチョーキングです。
チョーキングとは、壁を触ると手に白い粉がつく症状のことを言います。
チョーキングは、塗料が紫外線に晒されることで塗料の樹脂が劣化した結果、防水機能が失われてきている状態になります。
モルタル壁は、セメントを主成分としています。
そのため、防水機能が失われると雨水が壁の中に侵入しやすくなってしまいます。
雨垂れ
5つ目は雨垂れです。
5つ目は雨垂れです。
外壁がざらざらしていることから、汚れが溜まりやすくなり、水でも流れにくいことが原因です。
家の耐久性に直接は影響しませんが、美観は損なわれてしまいます。
モルタル壁のメンテナンス方法
ここまで、
・モルタル壁は1990年代以前に建てられた家の主な外壁材で、セメント、水、砂を混ぜたものであること
・モルタル壁には、リシン吹きつけ、スタッコ、吹きつけタイル、リシンかき落とし、左官仕上げの5種類があること
・メリットとして温かみ、コーキングメンテナンスの不要性、耐火性、デメリットとしてクラックの起きやすさ、苔やカビなどがつきやすいこと、工期の長さ、費用の高さがあること
・劣化症状として、塗膜の浮きや剥がれ、クラック(ひび割れ)、苔・カビ、チョーキング、雨垂れがあること
をご説明してきました。
ここからは、これらの劣化症状別にメンテナンス方法をご紹介してまいります。
塗膜の浮き・剥がれ
塗膜の浮きや剥がれがある場合は、高圧洗浄などの下地処理、3回塗りによる再塗装を行うことで解消いたします。
クラック(ひび割れ)
クラックがある場合は、その場所をコーキングで埋めることで解消いたします。
苔・カビ
苔・カビがある場合は、高圧洗浄などをして綺麗にした後、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りにより解消いたします。
チョーキング
チョーキングがある場合は、高圧洗浄を綺麗にした後、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りにより解消いたします。
雨垂れ
雨垂れがある場合は、高圧洗浄をして綺麗にした後、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りにより解消いたします。
ほとんどの場合は、高圧洗浄をして3回塗りを行うことでメンテナンスを行います。
モルタル塗装の費用相場
ここまで、
・モルタル壁は1990年代以前に建てられた家の主な外壁材で、セメント、水、砂を混ぜたものであること
・モルタル壁には、リシン吹きつけ、スタッコ、吹きつけタイル、リシンかき落とし、左官仕上げの5種類があること
・メリットとして温かみ、コーキングメンテナンスの不要性、耐火性、デメリットとしてクラックの起きやすさ、苔やカビなどがつきやすいこと、工期の長さ、費用の高さがあること
・劣化症状として、塗膜の浮きや剥がれ、クラック(ひび割れ)、苔・カビ、チョーキング、雨垂れがあること
・クラックがある場合はコーキング、その他の劣化症状は下地処理をして3回塗りでメンテナンスを行うこと
をご説明してきました。
最後に、モルタル塗装の費用相場についてご説明してまいります。
以下の表は、塗料のグレード別の費用相場と耐用年数を表した表になります。
ただし、劣化症状や塗布面積によって前後するため、ご注意ください。
※30坪の2階建て、足場代や付帯部塗装も含んだ概算になります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、
モルタル壁の種類
モルタル壁のメリット・デメリット
モルタル壁の劣化症状
モルタル壁のメンテナンス方法
モルタル塗装の費用相場
について説明してきました。
この記事を読んで、ぜひ良い塗装にされる参考にしていただければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上、サニー建設商事でした。